BtoBマーケティングの手法・施策を考える前に、成約に至るまでの流れを把握しておくことが重要です。以下の流れに沿って進めていきます。
- マーケティング戦略の設計
- リードジェネレーション(リード獲得)
- リード育成(リードナーチャリング)
- リードクオリフィケーション
- 商談と受注
プロセスごとの内容を見ていきましょう。
1.マーケティング戦略の設計
BtoBマーケティングでは、達成したい目標やターゲット顧客など、戦略を立てることから始めます。主な内容は以下のとおりです。
- 達成したい目標と中間目標の設定
- ターゲット顧客の明確化
- 自社の強みと弱みの分析
- 競合他社の動向把握
- 顧客ニーズの把握
- 集客方法・施策の決定
BtoBマーケティングでは最終的に達成したい目標はKGI、中間目標はKPIとして区別されます。KGI(重要目標達成指標)とは、自社が最終的に達成したい経営上の目標を指し、売上や顧客獲得数など数値化できる目標を選びます。
KGIは企業経営に直結するため、経営層が決定するケースが一般的です。
KGIの例には「年間売上を10億円増やす」や「6ヶ月で新規顧客を5社獲得する」などがあげられます。KGIで具体的な数値目標を掲げることで、目標の達成度が判断しやすくなります。
マーケティング担当者は決定したKGIの内容を確認し、目標達成に向けてどのようなKPIが必要か考えなければなりません。KPI(重要業績評価指標)とは、KGIの達成に向けて立てる中間目標です。
KPIは開封率やダウンロード数など、各プロセスごとに実施する施策の内容によって変動します。
また、自社の強み・弱みや顧客ニーズの把握など、内部環境と外部環境の分析には、SWOT分析や3C分析など、フレームワークを活用しましょう。
2.リードジェネレーション(リード獲得)
リード獲得とは、自社の商品やサービスに関心を抱く見込み顧客(リード)を獲得する活動です。BtoBマーケティングではひとつの商材を購入する際の検討期間が長く、購入関係者も多いため、まずは見込み顧客との接点を作り出すことが重要です。
Web広告の掲載やウェビナーの開催、ホワイトペーパーの提供など、複数の施策を実行して、担当者の氏名や連絡先、所属企業など、見込み顧客の情報獲得に努めます。
また、BtoBマーケティングにおけるリード獲得の目的は、潜在顧客の中から自社商材に興味を示す層を可視化することです。
可視化した見込み顧客に対しては、今後のプロセスでも継続的に情報を発信して購買意欲を高め、最終的には営業部へ引き渡します。
1件でも多くの見込み顧客と商談や成約に結びつけるには、自社のターゲットに合致した質の高い見込み顧客を獲得しなければなりません。
以下の記事では、リード獲得の基礎や具体的手法を説明しています。こちらもご覧ください。
リードジェネレーションとは~デジタルマーケティングの第一歩~|BtoBマーケ基礎vol.1
3.リードナーチャリング(リード育成)
続いて、獲得したリード(見込み顧客)に対して継続的な情報発信を行い、自社商材への関心や購買意欲を高めてもらう活動である「リード育成」を行います。情報発信の手法にはメルマガ配信やSNS、ホワイトペーパーの活用などがあげられます。
手法自体はリード獲得と変わりませんが、意識すべきポイントが異なります。リード育成で成果をあげるには、顧客の検討段階に応じた情報発信が必要です。
獲得したすべての見込み顧客が、すぐに自社商材の購入を決めているとは限りません。自身のニーズを把握したばかりの顧客へ積極的に提案しても、すぐに成約に結びつく可能性は低いでしょう。
見込み顧客の検討段階を見極め、購買意欲の高い顧客には導入事例や顧客からの評判、課題解決のノウハウなどを伝え、購入を後押しします。
また、関心が低い顧客との接触が途絶えると、購買意欲が高まった瞬間に素早く提案ができません。他社への流出を防ぐには定期的なコミュニケーションを行い、接点を持ち続ける必要があります。
4.リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションは、リード育成で関心が高まった顧客の中から、高確率で成約が望める顧客を絞り込む活動です。商談化や成約率が高いと判断した見込み顧客をリストにまとめ、営業部に引き渡します。
見込み顧客を見極める方法には、スコアリングがあげられます。スコアリングとはホームページへのアクセスやセミナーの参加など、事前に行動別に点数を設定しておき、顧客が取った行動に応じて点数をつける作業です。
点数が高い顧客は購買意欲が高いとみなし、営業部へ引き渡します。リードクオリフィケーションを行う目的は、営業活動の効率化と収益拡大の両立を実現するためです。
営業活動は既存顧客へのフォローも並行して行うため、限られた人員と時間を有効に活用しなければなりません。
仮に自社商材への購買意欲が低い見込み顧客と商談を重ねても、すぐに成約に至る可能性は低く、無駄な行動となるおそれがあります。既存顧客へのフォロー不足で機会損失が増えないよう、案件の受注が見込める顧客を優先するのは当然といえるでしょう。
以下の記事では、リード育成の流れや具体的な手法などを紹介しています。
見込み顧客との商談獲得数や成約数が伸び悩んでいる方は、こちらもご覧ください。
リードナーチャリングとは~「見込み顧客」を「顧客」へ~|BtoBマーケ基礎vol.2
5.商談と受注
絞り込んだ見込み顧客を営業担当者に引き渡し、営業担当者が割り当てられた顧客と商談を行います。営業担当者は顧客の課題や要望に合わせた商材を提案するのが仕事です。
一方、マーケティング担当者は資料提供や顧客情報の整理など、営業担当者のサポートに回ります。リード獲得やリード育成を的確に実施していると、商談がスムーズに進むでしょう。
商談後には、営業担当者が得たフィードバックをマーケティング担当者にしっかりと伝え、双方で情報を共有することが重要です。部門間の連携強化によって、より戦略的かつ効率的にマーケティング活動を進められます。