2025/12/09

コロナウイルスの蔓延により、多くの企業で在宅勤務が日常のものとなりました。それに伴いBtoBマーケティングの手法も大きく変化し、それまで企業にとって有効な施策の一つである展示会に代わり、オンラインセミナー(ウェビナー)が急速に発達を遂げ、アフターコロナとなった今でも定番の施策として定着しています。
一方で、対面で行う展示会も賑わいを取り戻し、連日各地で開催されています。
そこで、BtoBマーケティングにおいては展示会とオンラインセミナーのどちらが効果の高い施策なのか、マーケターの声から実情を明らかにするべく調査を実施し、結果と考察をまとめたレポートを公開しました。
本レポートがBtoBマーケティングの成功や各社の発展に寄与できれば幸いです。
昨年度に実施した施策は、1位:展示会、2位:メール、3位:オンラインセミナー
展示会のメリットは “リアルならではの体験価値”。ブランド認知・信頼構築にも期待
オンラインセミナーの主な目的は「リード獲得」と「認知度向上」。顧客育成の場としても活用
展示会はコミュニケーションとフォローの重要性があらためて浮き彫りに
オンラインセミナーはテーマ・講演者の選定など、企画の質が成否を左右
展示会やオンラインセミナーに優劣はなく、“オンライン/オフライン施策の統合的な展開”が成功の鍵

昨年度に実施したマーケティング施策として、「展示会(52.3%)」が他を大きく引き離して最上位となり、「メールマーケティング(37.1%)」、「オンラインセミナー(36.7%)」が続きました。
BtoBにおいても「SNSマーケティング(29.5%)」が重視されていることが判明し、注目されつつあるLLMO・GEO(生成AI対策)については、5.1%にとどまりました。

展示会出展の目的として、「リードの獲得(56.5%)」が最多となり、「製品・サービスの認知度向上(55.6%)」が僅差で続きました。
また、「既存顧客やパートナーとの関係強化(46.0%)」や「案件化・商談化への貢献(44.4%)」といった、新規・既存顧客双方との関係強化も目的として大きな要素だと言えそうです。
一方で、「競合他社の動向把握(31.5%)」や「市場ニーズの把握(30.6%)」など、情報収集手段の一つとして考えている企業も一定数みられました。

展示会のメリットとして、「ブランド認知・存在感を高める機会 (58.1%)」が最多となり、「来場者の関心度や反応を感じ取れる(51.6%)」、「製品・サービスを実際に見たり触れてもらうことができる(50.0%)」が続きました。
また、「偶発的な出会いや顧客との接点創出(49.2%)」や「対面での信頼関係構築(47.6%)」など、リアルならではの体験価値が重視されているといえそうです。
展示会は、ブランド認知を高めるとともに、来場者の関心や反応を直接うかがいながら、信頼関係を築く場として活用されているといえます。

オンラインセミナー(ウェビナーなど自社主催)の目的として、「リードの獲得(59.8%)」が最多となっており、展示会と同様、特に新規開拓を期待した取り組みとなっています。
以降、「製品・サービスの認知度向上(47.1%)」や「既存顧客やパートナーとの関係強化(46.0%)」が続きました。
展示会の目的と対比しますと、「リードナーチャリング」の差が8ポイントほどあり、オンラインセミナーは展示会よりも顧客育成の手段・場として活用されているようです。
逆に展示会は、オンラインセミナーよりも「製品・サービスの認知度向上」を目的に開催・出展されている(8ポイントほどの差)ことがわかりました。

オンラインセミナーのメリットとして、「参加者の移動負担がなく、参加のハードルが低い(65.5%)」が最多となり、「地理的制約がなく、広範囲にリーチできる」と「少人数から大規模イベントまで柔軟に対応可能」が同率の47.1%で続きました。オンラインの特性でもある場所や参加人数といった制約を受けづらい柔軟性をメリットとして考えていることがわかりました。
また、「会場費などのコスト削減(43.7%)」や「アーカイブ配信による継続的な情報提供(36.8%)」など、金銭的な優位性や業務効率などにもメリットを見出していることが示されています。

昨年度に実施した施策のうち、イベント施策に関しては、「展示会(オンラインを除く)」が49.1%※と高い効果を得ており、「オンラインセミナー(メディア主催)」では51.9%※、 「オンラインセミナー(自社主催)」では39.1%※と効果の高さを評価しています。
オンライン/オフラインどちらも高い評価を得ており、イベント施策はどちらかの優劣ではなく、両施策の統合的な展開が成功の鍵だと言えそうです。
イベント施策以外では「マス広告」が55.1%※で最上位となっており、未だ有効な施策となっています。
また、近年注目されている「LLMO・GEO(生成AI対策)」については、「非常に効果が高かった」との回答に限りますと最上位でした。