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【インターンブログ】生成AIを活用してマーケティング施策を立案してみた―後編

自己紹介

現在大学4年生。
大学3年の秋から長期インターンシップ生としてITコミュニケーションズにお世話になっています。2024年度は、生成AIを活用しながら、ゲーミングPCに関するマーケティング施策を立案しました。

二人とも大学では経営学部に所属しており、マーケティングによく使われるフレームワークなどは講義で学習しましたが、BtoBのマーケティングに関する事前知識はほぼありませんでした。
ちなみにゲーミングPC・ゲームの知識もほぼゼロの状態からスタートしました。

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なな

好きなものはディズニーとハリーポッター。休日はカメラを持って街を練り歩く。
大学のゼミでは、ディスカッションやケーススタディを通して、マーケティングについて幅広く学んでいます。

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かほ

趣味は散歩と旅行。
犬も猫も好きだが最近アレルギーの疑いが浮上。
大学での専攻はマーケティングリサーチで、顧客満足度などのデータ分析をしています。

ブログ概要

インターンシップでは、あるPCメーカーのゲーミングPCに関するマーケティング施策の立案をお題として出されました。
まず施策立案の準備段階として、ビジネスモデル・キャンバスや3C分析などのフレームワークを活用しながら、ゲーミングPCの市場・業界について情報を集めました。
その情報をもとに、具体的なターゲット・費用・時期・プロモーション方法を考慮し、革新的なイベント案を考えました。
この中で、市場調査や収集した情報の整理、マーケティング施策のアイデア創出において生成AIを活用しました。
(使った生成AIはChatGPTの「GPT-4o」とClaudeの「Claude3.5 Sonnet」の2種類です。)

 

インターンシップでマーケティング施策案を考える中で学んだ生成AIの使い方のコツや難しさを共有し、今後マーケティングの知識がない新入社員やインターンシップ生が施策立案をする際の一助になればと思い、このブログを掲載させていただきます。 

 

なおこのブログは前編と後編の二部構成になっています。前編では、生成AIの特性や基本的な使い方および実際のインターンシップでの体験談や感想をまとめています。後編では、市場分析とアイデア創出の段階における、生成AIの具体的な活用方法や限界について整理しています。 

『今を生きる』AIとの対話術ーAIの特性を理解する

生成AIの特性

・生成AIの基本的特性(GPTに質問による回答) 

生成AIは、大量のデータから特徴やパターンを学習し、その学習データによる予測に基づき出力を生成するシステムです。
様々な入力に対応する柔軟性を有しており、画像生成や音声合成などの機能も備えています。一方で、出力の正確性には限界があり、誤った情報を含む可能性があることにも留意が必要です。

現在、日本市場における生成AIのシェアでは、ChatGPTが最も高い普及率を示しています。
参照:2024年度 生成AIサービス利用動向に関する調査(ICT総研)

 

・「今を生きる」生成AIの特性について 

生成AIの出力は学習データによる予測に基づくため、同一の質問に対しても完全に同じ回答が生成されることはありません。
日々のパターン学習により回答も進化していくという特徴があります。
これは生成AIが人間と同様に、環境の影響を受けながら、その時点で最適と判断される回答を提示する特性を持っていることを示唆しています。
この点は、従来の新聞や辞書、ウェブ検索等での情報収集プロセスとは大きく異なる特徴といえます。 

 

この章では、以上の2点に留意して、マーケティングにおける効果的な生成AIの活用方法をまとめていきます。

効果的な活用方法 

・会話ログの重要性と記録方法
ChatGPTを活用してマーケティング施策を立案するにあたり、この「今を生きる」特性が課題となった経験があります。
具体的には、過去の質問と回答の履歴が適切に管理されていない場合、同様の質問を行っても期待する回答が得られないという状況が発生しました。
この課題に対しては、各チャットに適切なタイトルと日付を付与することで対応が可能です。
基本的な対応ではありますが、人間同士のコミュニケーションにおける議事録に相当する重要性を持つため、生成AI活用初期段階での徹底をお勧めします。
 

・複数回の質問による検証プロセス
出力が質問ごとに変化する特性はありますが、十分な学習データが存在する場合、本質的に類似した回答が得られます。
この特性を活用し、同一内容の質問を異なる表現で複数回実施することで、回答のばらつきから生成AIの回答精度を評価することが可能です。

『今を生きる』AIとの対話術 ― まとめ

生成AIは業務効率化に大きな可能性を秘めています。
その「今を生きる」特性を理解し、適切な会話ログの管理を行うとともに、その特性を活用した回答の信頼性確認を実施することで、より効果的な生成AI活用が実現できると考えられます
 

 

ここまで生成AIの大まかな使い方について説明しました。
次に、これらの点を踏まえて実際にインターンシップに取り組んだ際の体験談や感想についてご紹介します。
 

AIはもう一人の自分―マーケティング施策立案における先輩社員の重要性

プロンプトスキルと回答品質 

生成AI を利用する際、多くの場合はプロンプトを自分で入力することになります。
このプロンプトの具体性や丁寧さ、質問意図と今後得られた回答をどう活用するのかというビジョンに対し深い理解があればあるほど、質問そのものの精度は向上します。
精度の高い質問とは生成AIが適切な回答を出力しやすい質問であり、この質問力は実体験をもとに築きあげていくしかないでしょう。
 

実例紹介

かほ:実際にマーケティング案を考えると、様々な課題に直面しました。特に最初は、質問方法に戸惑ったよね。

なな:そうだね。今では#を使って条件を箇条書きにしてから質問するという手法を知っているけど、最初は質問内容を整理するのも難しかったね。 

かほ:あと、回答が極端になるもの苦労したポイント!専門用語が多用された長文が返ってきたかと思えば、逆に要約しすぎて具体性に欠ける回答もあったから、バランスの取れた情報を得るのには苦労したなぁ… 

ななねー!だけど、1番大きな課題だったのは、AIが提案するイベント案の実現可能性を判断できないことだった。私たちにはマーケティングの知識や実務経験がほぼ無いから。 

かほChatGPTを使って予算や来場者数の試算はしたけど、それらの数値が業界の相場にあっているのか判断が難しかった。 

ななイベント企画においても、単に『イベント案を考えてください』という依頼はできても、そこに付け加える具体的な条件設定に悩んだよね~ 

かほ:例えば、一般的なイベントの規模感、社内リソースの活用可否、交渉プロセスなど、実務的な知見が必要なところが多かったね。 

なな:うん。実際の業務経験の重要性を、身をもって実感する機会となりました! 

先輩社員の重要性 

なな先輩社員からのフィードバックを通じて、AIの回答に無意識のうちに影響を受け、視野が狭くなっていたということに気付けた!

かほそうだね!最初はゲーミングPC新規顧客層の開拓を目指していたはずなのに、いつの間にか『大学生向けのゲーム大会を開催する』という、かなり限定的な方向性に収束してしまい... 

ななも、先輩方のご指摘でそこから全く違う方向性に転換できたね。
あと、最終発表の際に、実際にターゲット企業への営業活動を担当されている社員の方から頂いたフィードバックもありがたかったね。
 

かほそうだね!特に、取引先企業の社内の雰囲気や部署間の関係性など、内部事情に考慮する必要があることに初めて気が付いたよ。 

なな確かに、、、そういった情報は実際に営業活動をされている社員の方とのコミュニケーションを通じてしか得られないものだもんね。 

かほ効果的な提案を作り上げるためには、AIの活用だけでなく、人間同士のコミュニケーションから得られる洞察や知見も不可欠だということを、強く実感したね。 

ななこのインターンシップを通じて、AIと人間の知恵をいかにバランスよく組み合わせていくかという課題について、深く考えさせられる機会となりました!

AIはもう一人の自分 - まとめ

自分自身の経験や専門的な知識のレベルが質問力に直結し、生成AIはその質問に素直に回答します。
つまり、生成AIは自分の能力を映す鏡であるともいえます。
よって、生成AIをうまく活用するためには、スキルアップし続けることが必要です。
また、“もう一人の自分”と会話し続けることで起こる視野狭窄を防ぐためにも、経験や知識が幅広い先輩社員にフィードバックをもらい、他社の視点から自分を見つめ直してもらうことが重要です。

【Appendix】プロンプト作成のコツ


プロンプト作成を行うにあたり、自分の中のフォーマットを確立しておくと、こちらが求めていることをAIが理解しやすく、
自分の頭の中の整理にもなります!
また、後日内容を確認するときも分かりやすかったので、以下では私たちが実践していたプロンプト作成のコツをご紹介します!

 

ポイント①:指示は単純明快に
基本的に一文の連なりでプロンプトを作成し、簡潔に分かりやすく指示することが何よりも重要です。

ポイント②:見出しで区切る
「#前提/#条件/#表示形式」といった見出しで区切り、情報は見出しごとに箇条書きでまとめる。

≪各見出しで記入すること≫
【前提】自分の立場や仕事内容、どんな課題があるのか等
【条件】考慮してほしいことや細かい設定・制限等(回答に求めることをできる限り詳しく記入する)
【回答形式】「項目ごとに箇条書き/トップダウン/ステップバイステップ」この3つはよく指定していた回答形式です。

ポイント③:徐々に具体化していく
一番最初はシンプルな内容でプロンプト作成を行い、繰り返し回答させる中で内容を具体化していくことで、
徐々に自分の求めている回答に近づいていきます。
例えば、専門用語が多い記事について質問したい場合は、「もっと簡潔に」「小学生でもわかるように」といった具体的な文言を付け足し、回答の言葉遣いを変化させていきました。

ここまでご覧いただきありがとうございました! 
後編では
生成AIの特性や基本的な使い方、および実際のインターンシップでの体験談や感想をご紹介いたしました。
なお、前編では、市場分析とアイデア創出の段階での、生成AIの具体的な活用方法や限界についてまとめておりますので是非そちらもご覧ください!