「ダイヤモンドID」を全社統合、オン情報とオフ情報もひとつに
合同会社デフサン 代表兼CEO 大学卒業後、東洋経済新報社へ入社。法人営業部門、新規事業開発のチームリーダーを経てコーポレートコミュニケーション部長に。局次長兼メディア(広告)営業部長を6年間務めた後、マネジメントソリューションズへ転職、ブランドマーケティング部長に就任。メディアの世界で、広告を提案営業する側と宣伝広告を出す側の両方を経験。現在は独立し、多くのビジネスメディアの広告事業を支援している。
吉村 これまでの“特集主義”から脱却するということですか?
高見 そう言い切って、いいかもしれません。じつは、市販の雑誌の売れ行きは特集記事の内容によって大きく変わります。そのため、投資や教育、ライフスタイル、相続など、大衆向けのテーマを特集することも必要でした。
しかし、ビジネスパーソンの関心領域である“企業・産業の深掘り情報”をコンスタントにお届けできるようにするためには、いったん“これまでの特集主義”から距離を置いてみるべきではないかと考えました。『週刊ダイヤモンド』のリニューアルは30年ぶりですが、ここまで編集方針を変えるのは、かつてないほどの大改革だと言えます。
リニューアルを機に、雑誌名も『週刊ダイヤモンド』から『ダイヤモンドウイークリー』に刷新します。
松岡 当社が主に支援しているBtoBかつIT系の広告主様は、雑誌だけでなく、オンラインメディアへのご出稿が多いのが特徴です。貴社のオンラインメディアである『ダイヤモンド・オンライン』は、どのような媒体でしょうか。
高見 『ダイヤモンド・オンライン』は、経営者やマネジャーなどの意思決定層をメインターゲットとするビジネス情報オンラインメディアです。月間ユーザー数は2,500万~2,700万人。無料会員は111万人、有料サービスである『ダイヤモンド・プレミアム』の会員登録者は4.3万人に上ります。
吉村 『ダイヤモンド・オンライン』も、今年から新たなプロジェクトがあるとうかがっています。
高見 2025年3月から、会員がコンテンツを利用するためのアカウントである「ID」を、全社統合の「ダイヤモンドID」に変更します。
当社は『ダイヤモンド・オンライン』以外にも、よりアカデミックなビジネス情報を提供する『DHBR電子版』(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー電子版)や、マネー情報メディアの『ザイ・オンライン』など、さまざまなオンラインメディアを運営しています。従来、これらのメディアの利用には別々のID登録が必要でしたが、3月以降は、1つの「ダイヤモンドID」ですべてが利用できるようになります。
すべてのメディアのIDを統合することで、読者の属性や興味・関心のあるコンテンツに応じて、別のメディアへと誘導することも可能になります。
先ほど、『週刊ダイヤモンド』の編集コンテンツを業種別、テーマ別に“深掘り情報”を発信し続けるスタイルに変更すると説明しましたが、『ダイヤモンド・オンライン』はそのスタイルを以前から採用しています。今後は読者の関心に応じて、「経営に関するもっと深い情報を知ってもらいたい」と思うのなら『DHBR電子版』、「金融関連の記事をよく見ているけど、個人としての資産運用にも関心がありそうだ」と思うのなら『ザイ・オンライン』といったように、別のメディアをレコメンドすることを構想しています。
属性や興味・関心のあるコンテンツに応じて、より深い情報へと誘ったり、オンとオフの垣根を越えた情報を提供できたりするようになります。