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Web広告 データ分析/活用

成果を出すInstagram広告の最適化

MARKETER'S NOTE

こんにちは。ITコミュニケーションズの河野です。  前回、Instagram広告の配信機能のうち、掲載面とターゲティングについて、以下の2点をお伝えしました。

  • Instagram広告は、フィード面とストーリー面に掲載することができる
  • Instagram広告は、柔軟かつ高精度にユーザーをターゲットできる

今回は、配信の最適化について、見て参ります。

■自動最適化について:運用の調整とFacebook・Instagram 少し前までの運用広告と言えば、運用者がどのようなユーザーにターゲットするか詳細に決め、それに合わせてキャンペーン構成もきめ細かに設定し、入札の調整などを日々行うようなスタイルが主流でした。 しかし昨今のトレンドでは、キャンペーンの基本設定である「広告の目的」を決めてしまえば、後は優秀な自動最適化機能が働いてくれます。

例えるならば、地図アプリのように目的地だけを決めると、優秀なエンジンがその時々の状況に応じて、最適な経路を決めてくれるのに似ています。 つまり、初めにマーケティングの目的を明確にし「広告の目的」設定を的確に行う必要があるということになります。

■「広告の目的」基本の6種類を抑えよう! 一般に広告の役割を大きく2つに分類するならば、認知目的(BR: Branding)と獲得目的(DR: Direct Response)に分けられると思います。 「広告の目的」設定には、Facebook・Instagram共通で11種類あります。 その中でも良く使われるのは以下の6つです。

▼BR目的

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▼DR目的

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順番に説明します。

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ブランディング型の広告目的

以下の3つは、マーケティングファネルの上部にあたる潜在的顧客に対して、商品・サービスの認知度を高めていくことに向く広告目的です。

■①エンゲージメント広告 投稿をより多くの人に見せて、エンゲージメントを促す場合に使います。 具体的には、投稿への「いいね!」や「コメント」が増えるように最適化される広告のことを指します。 広告主の投稿に対して「いいね!・コメントしてくれそうなユーザー」をFacebook側で自動で判別し、そのような方々に多く配信されるように調整してくれます。

■②ブランドの認知度アップ広告 ブランド認知度を向上させ、ブランドやメッセージの想起を促すためにリーチします。 広告に興味を示す可能性の高いターゲットにリーチして、ブランドの認知度をアップさせることができます。

厳密な意味でいうと、ユーザーが広告を見た後、本当にブランドやメッセージを覚えているかどうかは、事後的にアンケートが必要です。(ブランドリフト調査)

Facebook社では数々の調査結果から、その統計的なデータを元に、アンケートを行わなくてもブランド認知度がアップしたかどうかを判断するアルゴリズムを開発し、このメニューに活用しています。

※より詳細には、広告に気付いて画面スクロールを止める動作や、一度スルーした後に戻って二度見する動作などを、認知度アップと相関関係にある動作、すなわち「アテンション」の指標として計測しているようです。

■③動画の再生数アップ広告 商品やアイデア、ビジネスを動画で紹介したい場合は動画広告を利用します。 Facebook・Instagram 広告では、動画視聴を「動画を10秒以上視聴すること」と定義して、その数を計測しています。 この視聴者数を最大化するのが動画の再生数アップ広告で、動画に動きや音、ストーリー性を込めて、まとまった情報量をユーザーに伝えたい場合には、このタイプが最も優れていると言えます。

もちろん10秒よりも短い動画も使用可能です。 隙間時間に見られることが多いInstagramの傾向を考えると、短い時間でアテンションを取るという意味では、短尺動画の方がむしろお勧めです。

■ブランディングの3つの広告目的にはそれぞれ一長一短があり、比較すると以下のようになります。

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①のエンゲージメント広告は「いいね!」を集めることに向いているので、これからInstagramアカウントを育てていきたいという広告主様にお勧めです。ただ、少し厳しい見方をすると「いいね!」自体はマーケティングとしては表層的なもので、深いエンゲージメントとは言えません。ビジネス目標をより高い位置に据えるならば、徐々に「いいね!」のみを指標として見る所から脱却し、他の目的を使いこなせるようになることが賢明です。

②のブランド認知度アップ広告は、BRの本質である認知度を上げるだけでなく、他の目的よりもリーチ数を増やしやすい特長を持っています。そのため、ブランドを覚えてもらいたい、より多くの人に広告を見てもらいたい、といった時には最適な広告となります。

③動画の再生数アップ広告は、圧倒的な情報量やメッセージ性を含められることがクリエイティブの利点なので、動画を用いたプロモーションには最適です。「いいね!」を積極的に増やすわけではありませんが、動画の再生数を伸ばした結果、リーチ数増加や認知度アップにも繋がりやすいので、動画素材をお持ちの場合は、最もお勧めの広告目的となります。

ダイレクト・レスポンス型の広告目的

以下はマーケティングファネルの中部~下部にあたる顕在層やリピーターを、自社サイト等に集客しアクションを促すことに向く広告目的です。

④トラフィック広告 Facebook外のリンク先へのアクセスを増やす広告です。 同じトラフィック広告でも、大きく分けて「クリック」への最適化と、「ページビュー」への最適化の二つが存在しており、 弊社としては、より正確なサイト訪問者数をカウントすることのできる後者を推奨しております。(LPへのタグ設置が必要)

⑤コンバージョン広告(リード獲得広告) こちらはウェブサイトでのコンバージョン数を増やす広告目的です。 資料請求や無料トライアル申込といったアクションを実行してもらうには、ピクセルタグの設置が必要です。 またコンバージョン数は任意の成果地点を設定可能ですが、システムが上手く学習して自動最適化するためには、一定数以上のデータ量が必要になります。広告セット当たり、最低でも週15~25件以上、可能ならば週50件程度のコンバージョン数が目安になります。

リード獲得広告は、ユーザーがサイトに遷移せずとも、Facebook上でフォームが展開して、情報を送信できるフォーマットになります。メルマガへの登録(メースアドレス)、来店予約やイベント参加申込(氏名や電話番号)、資料請求(住所)といったようにユーザーは個人情報を登録することで、サービスへの申込や予約を行うことができます。

⑥アプリのインストール広告 「App Store」や「Google Play」でアプリのインストールを促すための広告目的になります。 Instagram上でこの広告の「詳しくはこちら」や「インストール」ボタンを押すと、ユーザーは「App Store」や「Google Play」といったアプリストアに遷移して、インストールを促されます。 ユーザーが本当にアプリをインストールしたかどうかを計測するためには、Facebook SDK をアプリ内に設置して、Instagramとアプリとを連携する必要があります。

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■ダイレクト・レスポンス型の目的は、ブランディング型よりも使い分ける方向性が明確です。

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④のトラフィック広告は、購入や申込といった目標アクションを直接促すわけではありませんが、潜在顧客や比較検討層をサイト誘導することで、商品・サービスのメリットや詳細情報を理解してもらうことが期待できます。数値的にクリック単価を低減させることができますが、CV率は低い傾向です。

⑤コンバージョン広告は、サイトにユーザーを誘導するという点ではトラフィック広告と変わりませんが、確度の高いユーザーに絞って配信するという点で、獲得効率の最大化を目指すのにお勧めです。こちらはクリック単価が上がりますが、CPAの効率化が可能です。

⑥アプリのインストール広告は、モバイルアプリケーションの訴求に特化しており、アプリの訴求であればダイレクトにインストールを促すことが可能です。

フルファネル設計

ここまで見てきたとおり、マーケティングの目的別に、Instagramの広告目的も使い分けることが、KPIを達成する上での基本設定になります。 しかしマーケティングの目的は必ずしも1種類ではなく、ファネルごとに異なるKPIが設定されていることも、しばしばあると思います。 そのような場合には、無理に一つの広告キャンペーンでKPI達成を実現しようとせずに、複数のキャンペーンを組み合わせて配信する方法を推奨します。

■例えば動画と静止画、両方の素材準備がある場合、一つの訴求でもフェーズごとに広告目的とそれに適した広告素材を紐づけて、それぞれのKPI達成を図るということが考えられます。

下記はダイレクトレスポンス型(CV重視)のプロモーションを展開する際の設計イメージになります。

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 ステップ1:ブランド動画キャンペーンで認知を広げる
 ステップ2:ステップ1で貯めた動画視聴者リストに対して、類似拡張配信を行い、より親和性の高いユーザーをサイトへ誘導
 ステップ3:サイト訪問者に対して、リターゲティング広告を配信する

予算イメージとしては、刈取りを重視して、ステップ3の配分を50%超と厚めに設定しています。

上記はあくまで一例なので、マーケティングファネルのどの部分を重視するかによって、予算配分を調整頂ければと思います。

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■クリック数(PV数)はブランディングとダイレクト・レスポンスの両方の指標になるか? 例えばですが、新ブランド商品のプロモーションを広告展開するとしましょう。 ブランドを認知してもらうためには(ブランディング目的)、広告では説明しきれない詳細な情報まで理解してもらえるよう、自社ページへの誘導数が指標になります。 またユーザーが実際に購入に至るプロセスにおいては(ダイレクト・レスポンス目的)、やはりサイトを訪れて、商品のバリエーションや他社製品の比較、価格など購買に関係する情報を見てもらうことが不可欠です。

このことから考えても、両目的の共通指標として、クリック数やPV数を見ることはある程度妥当だと思います。 しかしFacebook・Instagramプラットフォーム上では、せっかくクリック以外の指標も計測できるのですから、 リーチ数、リフト率、CV数、リード獲得数などといった複数指標をKPIとして見ていくべきだと考えます。

近年のFacebook運用のトレンドにおいては「クリック」は万能ではないと言われています。その理由としては

①クリックとブランド認知度とは相関関係に無い
②クリックしたユーザーが、全てページ閲覧に至っているとは限らない

上記二つに集約されるかと思います。

① 関しては、ニールセンが調査結果をまとめています。

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※Nielsen BrandEffect meta-analysis of 478 online global campaigns that ran between Oct 2014 - April 2015

世界各国の合計478の広告施策において、ブランドリフト調査を実施したところ、広告のクリック率とブランド効果には直接の関係がないことが分かりました。

一般ユーザーの視点で考えてみても、広告を実際にクリックするのはごく一部で、じっくり見ることはあってもその場でクリックする方は少数ではないでしょうか?ネット広告への「耐性」が発達している昨今では、その場でブランドや商品の名称だけ覚えておいて後で検索する、というユーザーも多いかと思います。

②に関しては、ページの読み込み時間が長いことによる離脱や、誤クリック、Botなどによる無効クリックが理由で、広告クリック数と実際のページビュー数には乖離があるというものです。

その他の最適化

ここまで自動最適化と初期設計について見て参りました。しかし実際に運用する中では、初期設計のままでは十分に最適化が進まず、配信量が落ち、CPCなどの単価ばかりが上昇していく局面も出てくるかと思います。 このような場合、一つの方法としては、クリエイティブを追加・変更することが考えられますが、すぐに用意できなかったり、せっかく作ったものを簡単には変更できなかったりすることも多いかと思います。

クリエイティブ変更以外で手軽に対策できるとするならば、リーチを増やすことがパフォーマンス改善の糸口になるかも知れません。 リーチの増やし方は2種類あり

  • ターゲットを増やす
  • 配信面(タッチポイント)を増やす

上記のどちらかを選択することになるかと思います。

■ターゲットを増やす 現在のターゲットに加えて、関連する興味関心項目や地域・デモグラを拡張するのも良いですが、 確度の高いユーザーを拡張元にして、「類似拡張配信」を行うこともお勧めです。

例えば、CVを取りたいという目的だと、「CVしたユーザー」というセグメントが最も確度が高いと思われるので、 これを元にした「CVするであろうユーザー」を、Facebook独自の高精度な類似拡張ロジックによって抽出します。 「申込フォームやカートページ」まで到達したユーザー、「商品・サービスの詳細ページ」まで到達したユーザーといった候補が考えられます。

このような深い階層を元にしたセグメントは、CV見込みの高い類似拡張を行うには有効かと思いますが、興味関心をフックにするならば、「LPを訪れたユーザー」「動画を見たユーザー」「FBアカウントをフォローしたユーザー」など、浅い階層を元にしたセグメントも潜在顧客にリーチする目的には有効です。

※自社サイトを訪れたユーザーを元にしてセグメントを作るには、自社ページへのピクセルタグの設置が必須となります。  最適化をスムーズに行うために、広告配信が決まったら、まずはタグを設置することをお勧め致します。

■配信面を増やす(Placement Optimization) Instagram広告は、Instagramのフィード面とストーリー面に掲載すると前回お話ししましたが、 同じFacebookプラットフォーム上であれば、Instagram以外への同時出稿も可能です。

多くのユーザーは一日のうちで、Instagram⇔Facebook⇔他のウェブやアプリを横断して利用しています。 1人のユーザーに対して、Instagram単体でアプローチするよりも、複数媒体でタッチポイントを設けた方がタッチポイントが増えて認知される可能性が高まります。 また適切な広告目的を設定していれば、システム側が自動的に、そのタイミングでコスト効率の高い配信面を選択するため、KPIが達成されやすくなります。 Instagramに強いこだわりが無い限り、他の配信面も含めた方が最終的なパフォーマンスが良くなります。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?本章では広告配信の最適化について紹介して参りました。

  • マーケティングの目標に従って、まずは「広告の目的」を決める必要がある
  • 「広告の目的」には、大きく分けるとブランディング型とダイレクト・レスポンス型があり、さらに細かく分けると代表的な6種類の目的に分けられる
  • ビジネス目的をフルファネルで捉えるならば、「広告の目的」を複数組合せた方が、KPIを達成しやすい
  • 実際の運用の局面では、ターゲットの拡大や配信面の拡大によりリーチを増やし、最適化が働きやすいように調整する

次回は広告素材(クリエイティブ)の基本的なTipsについて、見て参ります。

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