吉村 広告主のBtoBマーケティングを成功させるメディアとして、サービスを継続的に進化させているとうかがっています。その背景には、どのような課題意識があるのでしょうか。
原島 BtoBマーケティングの世界は、この20年で大きく様変わりしました。かつては、テレビ・新聞・雑誌といったマス広告によるブランディングが主流でしたが、デジタル広告市場の拡大とともに、特にIT業界ではリード獲得型プロモーションが急速に普及しました。
その一方で、各社がリード獲得に注力するあまり、「年々高まるリード獲得KPIを達成できない」「リードは獲得できても、商談につながらない」といった課題が、より顕在化してきました。
松岡 確かに、弊社のお客様からも同じような声をよく耳にします。
原島 先日も外資系大手IT企業のCMOと話す機会があったのですが、「BtoBマーケティングにおいて、リードジェネレーションだけを続けていても必ず行き詰まる」とおっしゃっていました。
市場での認知や信頼の獲得(ブランディング)、獲得したリードの育成(ナーチャリング)、そして選別(クオリフィケーション)を有機的に組み合わせていかなければ、成果は出ないという認識が、グローバルでも共通して広がっていると感じています。
なぜ成果が出ないのか?国内ITDM特有の購買行動とB2Bマーケティングの壁
吉村 そうした課題に対して、ビジネス+ITではどのような解決策を提供しているのでしょうか。
原島 これまでビジネス+ITは、獲得数保証型のリードジェネレーションを最も得意とするメディアでした。ただ、現在はその強みを軸に、ブランディング・エンゲージメント・商談化までを一気通貫で支援できる施策へと進化しています。
具体的には、新たに以下のサービスを展開しています。
・国内トップクラスのアクセスを誇る Yahoo!ニュースへのタイアップ記事転載プラン
・国内主要メディアへのDSP配信を通じABMターゲティングを実現する Taboola配信プラン
・複雑な商材を分かりやすく伝え、態度変容を促すBtoB特化の動画ブランディング
・大手企業のCxO・部長層と直接対話できるエグゼクティブラウンドテーブル
中でもYahoo!ニュースへの転載プランは想定以上の反響があり、開始から約1年半で、すでに20社以上の広告主にご利用いただいています。
松岡 どんな効果が期待できるのでしょうか?
株式会社ITコミュニケーションズ 執行役員 ビジネスデザイン本部 本部長 松岡 秀昌
原島 一般記事が多く並ぶYahoo!ニュース上に掲載されることで、これまで接点のなかった層にも記事が届き、企業や製品・サービスに対する認知や理解を高める効果が期待できます。
従来のBtoBマーケティングでは、「ホワイトペーパーを作ってもダウンロードされない」「リードは取れるのに、商談化率が上がらない」といった悩みをよく耳にします。
それは十分な理解や関心が醸成される前に、いきなり成果を求めてしまうことが原因だと考えています。
まずはブランディングで認知と理解の土台をつくり、エンゲージメントを高め、その上でリードジェン、パイプライン形成へと進む。こうした フルファネルで段階的に設計されたBtoBマーケティングのほうが、結果として確実に成果につながると考え、このようなサービスを開始しました。
また、ユーザーの興味関心に合わせて関連記事をレコメンドするTaboola(タブーラ)を活用したABMサービスでは、狙った企業・人物だけを記事へ誘導することが可能です。
さらに、エグゼクティブラウンドテーブルでは、意思決定層と少人数で直接対話する場を設けることで、理解の深化や信頼形成を促し、商談化に近い“質の高い接点”を創出しています。
日本のB2B市場に最適化された、ビジネス+ITのフルファネル支援
吉村 今後リリースする予定の新サービスはありますか?
原島 2026年の早い段階で、インテントデータを広告主にフィードバックする新サービスを開始する予定です。
当社は、会員の詳細な属性情報や記事へのアクセスデータを保有しているだけでなく、年間1,800件以上のプロモーションをすべて件数保証型で実施しています。
すべての案件において、原稿制作からLPO・EFO、CTR・CVR改善までを一貫して行い、読者やITDM(IT導入に関する意思決定者)がどのテーマに、どの段階で反応したのかを継続的に把握・蓄積しています。
こうしたデータを活用することで、獲得したリードの優先順位付けやアプローチ判断など、商談化を見据えた活用が可能になると考えています。
松尾 2026年には、動画を中核とした新たなメディアも立ち上げる予定です。これまで動画制作は外部パートナーと連携してきましたが、現在は動画制作スタッフを正社員として採用し、自社スタジオを内部に追加するなど、動画の編集・制作体制を本格的に強化しています。
これと同時に、1つの情報ソース(シングルソース)から、さまざまなコンテンツ(マルチコンテンツ)を制作する体制も強化しており、たとえば、対面のイベントの内容をもとに、テキストコンテンツや、音声コンテンツ、動画コンテンツをこれまで以上にスムーズに制作できるようになります。
これにより、読者とのタッチポイントに合わせた最適な形でのコンテンツ展開を容易にしていきます。ここで重要な役割を果たすのが生成AIです。生成AIがこれらのハブとなって従来では考えられない速度とコストでマルチユースを可能にすると考えており、どのメディアよりも多くの投資をしていく考えです。
吉村 最後に、どんなビジネスメディアを目指していきたいのかを聞かせてください。
原島 『ビジネス+IT』は、立ち上げ当初から広告主のBtoBマーケティングを成功させることを軸に、サービスの改善と進化を重ねてきました。
これからも、「広告主のゴールを、自分たちのゴールとして捉える」姿勢を大切にしながら、伴走型のメディアとして、お客さまの成功を支えていきたいと考えています。
松岡 「お客さまの成功のために」という想いは、広告代理店であるわれわれにも共通するところです。ぜひ今後も、一緒にBtoBマーケティングを盛り上げていきましょう。