読者、広告主様、メディアが
「三方良し」となる広告事業を目指す
―オンラインの話が中心になりましたが、紙の新聞については、どんな強みがあるとお考えでしょうか?
篠瀬 紙面上では、業界テーマ別と地区特集を合わせて、毎年700本近い広告特集を掲載しています。中には当社でしか扱っていないテーマもあり、ものづくりに関連する広告を特定された読者に発信できるのは、『日刊工業新聞』ならではのユニークな点だと言えます。社内に広告特集専門のチームがあり、クオリティを持った記事広告が制作できる体制を築いています。
―新聞の発行部数が減り続ける今日、「紙に広告を出す意味があるのか?」と考える広告主様もいらっしゃいます。この点については、いかがですか?
松之舎 地方には、いまだにオンラインよりも紙の新聞で情報を得たいという読者が大勢いらっしゃいます。そうした方々にリーチするためには、紙の広告特集がいまでも有効だと思います。実際、『日刊工業新聞』が掲載する年間700本近い広告特集のうち、半分の約350本は地方の支局が制作しています。それだけ紙に対する地方のニーズは高いのです。
吉良 最近では、オンライン広告によるリード獲得はやり尽くしたので、新たな顧客層へのアプローチの一つとして、新聞広告を打ちたいという広告主様も増えてきています。
松岡 ところで、『日刊工業新聞』では「高専特集」という広告企画も行っているそうですが、これはどんな企画ですか?
篠瀬 優秀なエンジニアを獲得したいものづくり企業を対象に、全国の高等専門学校(高専)の学生との接点づくりをお手伝いする企画です。具体的には、特集ページに自社をアピールする記事広告をご出稿いただいており、全国にある国立・公立・私立の58校の高専へ紙面やWEBなどさまざまな形でお届けしています。
高専生の就職・進路応援特集「KOSEN 最前線2025」
今年は高専卒業生や工業高校生を当社が主催で関わるものづくり系展示会に招待する企画パッケージも提供を開始しています。
大内田 日ごろ製造業のお客様と接していると、人手不足の影響で求人広告のニーズが高まっていることを実感します。最近はダイレクトリクルーティング(企業が人材に直接アプローチする採用手法)が好まれているようですが、そのニーズにかなった企画だと言えそうですね。
―今後の広告事業において、日刊工業新聞社は、ITCやメディックスのような広告代理店に何を期待しますか?
吉良 ここまでお話してきたように、当社は新聞、デジタルメディア、雑誌、書籍、イベントなどを通じて多彩なコンテンツを提供しています。これらを組み合わせれば、より効果の高い情報発信が可能になりますので、広告代理店には統合型プロモーションを広告主様にご提案されることを期待したいです。そのために当社からも代理店に対して、会社で取り組んでいる内容を発信させてもらえるこうした機会は有り難いです。
篠瀬 近年は、海外からの問い合わせも増加しています。直接、企業から来ることもあれば、海外の投資機関や大使館経由などさまざまあります。日本の産業界に売り込みたいというニーズが今のところ多いのですが、社内リソースだけでは対応が限られるところもあり、間に入ってくださる代理店の存在があると有り難いです。日本企業の海外市場への発信も増えてくるはずなので、そこを一緒に取り組めるパートナーと一緒に、日本のものづくりにも刺激を与えられるような取り組みができればと考えています。
松岡 わかりました。一方で、私たちITCは、日刊工業新聞社が持っておられる製造業のお客様の課題や「困り事」に関する情報を、できる限り共有していただきたいと思っています。それが、製造業にIT機器やソリューションを提供する広告主様のマーケティング戦略に役立ち、より効果の高い広告が打てるようになるからです。
株式会社ITコミュニケーションズ 執行役員 ビジネスデザイン本部 本部長 BtoBマーケティング一筋10年。セールス兼マーケティング部の長として、営業組織とマーケティング部を統括。外資系ITクライアントで培ったフルファネルマーケティングのノウハウを活かし、様々な業界への支援を展開。特にBtoB領域におけるマーケティング支援では、戦略策定から、認知拡大、リード獲得、イベント企画・運営、メール・コンテンツマーケティングにおける制作、インサイドセールス支援、MA/CRMツールの活用等、幅広く対応している。
大内田 製造業の皆様は、限られた人員の中で開発や生産、営業など多岐にわたる業務を担われており、情報発信やブランディングまで手が回りにくいという実情があります。
私たちメディックスは、そうした企業の「想い」や「強み」をしっかりと言語化し、日刊工業新聞が持つ多彩なメディアやイベントと組み合わせることで、成果につながる戦略的な発信を共に実現していきたいと考えています。日刊工業新聞と連携しながら、日本のものづくり企業の魅力を国内外に広く届けていければと思います。ぜひ、今後も情報交換をお願いします。
―最後に、日刊工業新聞社から広告主様にひと言メッセージをお願いします。
松之舎 当社は、新しい広告商品やビジネスモデルを構築するため、2020年からビジネスインフラの整備を進めてきました。現在、土台は十分に整いつつあるので、今後、より付加価値の高い広告商品をどんどん提供していきます。
単なる情報伝達にとどまらず、情報を繋ぎ、育て、価値にしていくことが、我々の目標です。110年の歴史で培った編集力と事業設計力を融合させて、読者、広告主様、メディアが「三方良し」となる広告事業を目指していますので、ぜひご期待ください。