「データドリブン組織を目指したものの、文化が定着しなかった」というケースは少なくありません。データドリブンを組織に定着させるためには、以下の5つのステップを押さえることが大切です。
1. データの見える化と共有
データは、そこに存在するだけでは意味を成しません。きちんと可視化し、共有も可能な状態にして初めて活用できます。つまり、データの可視化と共有の仕組みづくりが重要なのです。
データが可視化できていないと、スムーズな分析も実践不可能です。「どこに問題があるのか・どのように改善すればよいのか」把握できないのです。同様に、データ共有の仕組みが構築されていないケースでは、分析や意思決定の妨げとなる恐れも生じます。
また、使用する用語についても、意味の共通化を図りましょう。各々が自由に用語を使用してしまうと、意思の伝達がスムーズに行えません。しっかりとした共通認識のうえで状況や文脈に応じた用語使用が習慣化するよう、社内で徹底することが大切です。例えば、見込み客は「リード」に、顧客は「カスタマー」に統一するなど、用語のルール化が求められます。
2. データをリアルタイムで正しく処理する
データがリアルタイムで処理されていないと、現場に混乱を招く恐れがあります。例えば、「古い情報なのに最新の情報と勘違いしてしまい、そのまま議論や分析を進めてしまう」というような危険があるのです。
このようなことが起きた場合、組織全体の戦略を見誤ってしまうかもしれません。「古いデータのまま分析と議論を進め、大量の在庫を購入した結果、ほとんど売れずに残ってしまった」などの事態に発展することすらあります。これはあくまで極端な一例ですが、このような事態が絶対に起きないとは限りません。
つまりデータ処理の遅れは、個々の業務に影響を及ぼすだけでなく、組織全体に大きなダメージをもたらしかねません。このような事態を回避するためにも、データはリアルタイムで適切に処理し、常に最新の状態に更新することが大切です。
なお、データ更新は手作業でも可能ですが、不注意などにより漏れやミスが発生してしまう恐れがあります。そのため、できるだけデジタル技術に頼ることをおすすめします。今では便利なITサービスやツールがたくさんリリースされているので、それらを活用して効率的な処理と周知、迅速な共有が可能な環境構築を進めましょう。
3. データドリブンを組織の文化として定着させる
データの分析・活用に適した技術的な環境だけを構築したとしても、組織の文化として定着させなければ、データドリブン組織とは言えません。ただ、文化として定着させることが最難関であるのも事実です。
データドリブン文化を定着させるための原則として、データを駆使した議論や意思決定の徹底が挙げられます。意思決定を行うときは、データを根拠として示し、勘や経験則といった不確実で曖昧なものをできるだけ排除する姿勢を一貫しましょう。
マネージメント層においては、日ごろからデータを活用した行動を心がけることが大切です。マネージメント層が率先してデータドリブンを実践すれば、部下や新入社員も自然とそれを手本にします。データを用いた意思決定や議論が当たり前になるため、新入社員でも短期間でデータドリブン環境に適応できます。
4. データに詳しい人材を育てる
データドリブンな組織文化を定着させるためには、データに詳しい人材の育成も欠かせません。そもそも、データをまったく扱えない、詳しくないといった人材ばかりでは、とてもデータドリブン組織など構築できないでしょう。
人材育成においては、デジタル教育の導入が一般的です。部門や職務ごとにマッチしたデジタル教育を取り入れましょう。なお、講義スタイルの教育よりも、より実践的な体験プログラムのほうが効果的と考えられています。
従業員のデジタルスキルを向上させるにあたり、外部から講師を招くのも1つの手です。定期的なセミナーや勉強会を開催すれば、着実なスキルアップが望めるでしょう。また、スキルアップに役立つWebサービスも多々あるので、これらの活用も選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
5. チームで戦略的思考を身につける
戦いにおける「戦略」とは、目的を達成するために、大局的な視点を持って組織行動を計画・実行することです。一方、「戦術」は戦略を達成するための手段を指します。
これは、ビジネスにおいても同様であり、データドリブンを組織に定着させるには、個人とチームが戦略的な思考を身につける必要があります。つまり、「ビジネスにおける目的を達成するための思考」が求められます。
データドリブン組織においては、個々人がデータ改善の役割と責任を担います。「今自分が何をすべきか、どのような行動を取るべきか」を社員一人ひとりが考えなくてはなりません。
例えば、チーム内で何らかの提案があったとき、そのまま受け入れてしまうようでは、戦略的な思考が備わっているとは言えません。戦略的な思考では、「どうしてそれが有効なのか・何が根拠になっているのか」を考えます。
意識的に戦略的思考を身につけられる環境を構築すれば、データドリブンな組織文化の定着が期待できます。実践コミュニティやフォーラムなど、さまざまなプログラムを立ち上げ、従業員の戦略的思考を強化しましょう。