クラウドシフトやハイブリッドワークの普及に伴い、SD-WANやSASEといったネットワーク・IT基盤は高度化・複雑化しています。しかし、専門的かつ難解なITインフラの特性上、ベンダー側は「他社製品とのカタログスペック比較」や「価格優位性」に注力してしまいがちで、顧客がどのようなプロセスで購買を判断し、何に躓いているのか、という情報がブラックボックス化しています。
そこで、ネットワーク・IT基盤の導入に関わった情報システム担当者を対象に、情報収集チャネルや比較検討時の懸念点、社内稟議の障壁などの購買行動の実態を明らかにする調査を実施いたしました。
ITコミュニケーションズは、ご支援した年間約4,000件のBtoB案件のうち、約70%がIT企業という、IT業界における圧倒的な支援実績と実践ナレッジを有しています。検討が長期化しやすく、合意形成が難解なネットワーク・IT基盤商材において、業界に強い弊社だからこそ可視化できた顧客のリアルな購買行動を紐解き、成果に直結するマーケティング戦略のヒントをご提供します。
目的 :ネットワーク・IT基盤の購入者の実態から、マーケティング課題の解決に役立つヒントを提供する。
調査対象:ネットワーク・IT基盤の導入に関わった情報システム担当者(25~59歳)
調査期間:2026年6月30日(火)~ 7月2日(木)
調査方法:インターネットリサーチ
回答者数:536名

ネットワーク・IT基盤の検討が始まってから、実際に購入・導入に至るまでの期間は、「6ヶ月以上」を要する層が全体で57.8%に達しています。
企業の基幹を支えるネットワーク更改は、障害による業務停止リスクや既存システムとの互換性懸念から、他商材に比べ慎重に進めらることが伺えます。

情報収集のために利用したチャネル・媒体は、「営業担当者・販売代理店への相談(47.8%)」が最多となっています。その一方で、「製品・サービス提供企業のWebサイト(37.9%)」、「専門Webメディア(33.0%)」、「Google・Bing等の検索エンジン(32.5%)」といったオンライン経由のチャネルも、営業相談に迫る極めて高い割合で併用されていることが判明しました。
顧客は、ベンダーの営業担当者に直接問い合わせたりアポイントを取ったりする前の段階において、自発的に提供企業のWebサイトや専門メディアを巡り、自力で情報を精査する「セルフリサーチ」をかなり進めていることが伺えます。

提供企業のWebサイトを訪れた顧客が参考にするコンテンツは、「製品・サービス情報(83.3%)」、「価格・料金表(68.5%)」、「実績・事例情報(65.5%)」が圧倒的上位となっています。
一方で、個人情報を入力して取得する「ダウンロード資料(ノウハウ集・レポート等)」は26.1%にとどまっています。
見込み客は「セルフリサーチ」の段階で、Webページ上にオープンに開示されている基本スペックや費用目安、他社実績を閲覧してスクリーニングを行っていると推察されます。

詳細に比較検討した製品・サービスの数は、「2社(29.3%)」と「3社(25.0%)」が過半数を占め、実質的に詳細な検討対象(ショートリスト)となる製品は「最大3社」に絞られます。
また、検討期間と併せて見るとボリュームゾーンである「2社」と「3社」でも傾向が異なり、「2社」は比較的短期で導入決定しているのに対し、「3社」になると「1年~2年未満」が最多となります。候補が3社以上になると検討が長期化する傾向が見られました。

検討候補になりながら最終的に「選ばなかった」最大の理由は、現実的なコスト適合(28.2%)を除くと、「自社環境との相性の悪さ(11.8%)」、「保守・サポート体制への不安(9.3%)」、「管理の難しさ・リソース不足(7.1%)」が上位を占めています。
機能が足りない(5.8%)という理由で落選するケースは比較的少なく、製品のカタログスペックが競合他社より優れていても、情報システム担当者が「自社の体制で、トラブルなく安定して実運用が回るのか」という実務的な懸念を払拭できなければ、選定から除外されやすいことが示唆されます。

社内承認を得るプロセスで最も壁になった点は、「費用対効果の定量的な説明の難しさ(17.4%)」が最多であり、次いで「予算オーバー(14.4%)」、「現状維持(12.1%)」となっています。
トラブルを避けるのが至上命題のインフラ領域においては、「今現在、大きな問題が起きていないなら、急いで変更する必要はない」という「現状維持バイアス」が決裁層に強く働きやすい特徴があります。現場担当者が刷新の必要性を感じていても、上層部に対して投資の必要性を論理的に証明できず、投資自体が見送り(現状維持)になる構造が浮き彫りになりました。
あったら必ずダウンロードしたい資料を役職別に見ると、一般社員・係長などの現場実務層では、初期選定のための「主要製品の機能や価格徹底比較表」が上位を占めます。一方、最終決裁に関与する部長クラスでは、「5年間の総所有コスト(TCO)算出シート」が高い需要を示しています。
情報収集を実質的に行う現場層と、それを承認する決裁層では、求めている情報や「欲しいホワイトペーパー」の形式が全く異なっています。多くのベンダーはWebサイト上に一括した「お役立ち資料」を並べていますが、これでは両者のニーズを同時に満たすことはできません。購買プロセスに関与する「役職別の行動特性とニーズ」を正しく把握し、それに基づいたコンテンツ設計を行う必要性がデータによって強く示されています。
ネットワーク・IT基盤は、企業の業務継続に直結するインフラであるため、「一度安定稼働すれば変更したくない」という強い現状維持バイアスが働きやすい商材と考えられます。
「他社製品とのスペック比較」を行う前に、「なぜ刷新しなければならないのか」の危機感を喚起するマーケティング施策を展開するのが有効打となります。
導入後の管理を任される現場担当者は「移行に伴う通信障害リスク」や「運用のリソース不足」に強い警戒を抱いています。
製品アピールだけでなく、「PoCによる段階的な移行プロセスの提示」や「運用工数削減の手厚いサポート体制」を顧客へ提示し、不安に寄り添うアプローチが商談化の必須条件と考えられます。
顧客がベンダーに期待する資料のトップは、客観的に評価された「主要製品の比較表」や、「TCO算出シート」であり、営業担当者には「デメリットも含めた実運用目線での比較開示」が求められています。
情報システム担当者が、社内の上層部を説得し、失敗を避けるための、具体的な「武器(ホワイトペーパーやシミュレーションツール)」を先回りして提供していく、「稟議支援型」のコンテンツマーケティングが、最終的に自社商材が選ばれるための鍵と言えます。
調査レポートには、本ページでご紹介した内容のほか、回答者の具体的な属性や、情報収集に使われている具体的なチャネル、ベンダーへの期待、考察の詳細など様々な情報を記載しています。
無料で公開していますので、ぜひ下記フォームよりダウンロードし、貴社のマーケティング活動にお役立てください。